2024年05月28日

【僕とあなたの”関心領域”】

【僕とあなたの”関心領域”】

長男(中1)「何を観に行ったの〜?」

宮島(僕)「『関心領域』だよ」

長男「あー、アウシュビッツのやつね」

よく家族で一緒に映画に行く。

チラシや予告編を観ては、面白そう?とか、観たいね〜とか、話をする。

次女(高1)「で、どんな、あらすじなの?」

宮島「うーん。例えばさ、すぐそこに軍用基地があるさね。あそこに住んでる人がさ、あくまで例えばだよ?その敷地の外に居る、彼らにとって不要だと思われている人間を排除する、という考えを持っていて、淡々と、大量に効率良く虐殺するためにはどうしたらよいのかと計画を練る恐ろしい仕事をする主人公がいて、敷地の中では、その家族も一緒に悠悠自適に生活しているわけ。映画の中に出てくる境界線を示す塀の上の有刺鉄線のネズミ返しの向きは、まるで近所のそれと一緒だったよ。で、もしかしたら僕らが敷地の中の人間かもしれないし、排除される側の人間かもしれない。そんな感じかな。で、その描写の仕方がね、、、、、。」

こんな具合で話していると、子どもたちは観てみたいと思ってくれたみたい。

アカデミー賞にも絡んでいたことで気にはなってたんだけど、
僕が映画『関心領域』を観てみたいな!と思ったのは次の2点

・タイトル(原題は「THE ZONE OF INTEREST」)
・ポスタービジュアル
【僕とあなたの”関心領域”】


それだけ。事前に予告編とかHPとか見ずに劇場へ向かった。

いや〜本当、関心を寄せる導線のセンスが素晴らしい。
プロデュースのセンスなんだろうなぁ。

ワクワクしながら、映画を観ていたら、
なんと眠剤ムービーなのよ(笑)
でも後半のたたみ掛ける謎の緊張感と、独特な裏切りの展開が素晴らしかったのです。

観てみたい!と感じたら、是非、映画館で観てください。サブスクで、レンタルで、PCとかテレビで観ることは絶対にオススメしません。映画の良さが5%も伝わらないでしょう。

お金を払って劇場で観ると、頑張って観れます。
(元を取りたいからね)

シアタードーナツで観たい!なんて人も居るかもしれない。
シアドのソファで観たら、やっぱり寝ますって(笑)
シアドで『関心領域』を上映する予定はありません。

むしろ、この作品は無機質なシネコンで観た方がハマります。
(シネコンをディスってるわけではないよ。『関心領域』のような作品を上映できるって羨ましいもん)

是非、劇場で、暗闇の中で「鑑賞・体験」してほしい映画です。
https://startheaters.jp/movies/898/?theater

ちなみに『関心領域』はアウシュビッツをテーマに扱った映画だけど、暴力シーンとか、極端に感情を揺さぶる描写はありません。
「シンドラーのリスト」とか「ライフ・イズ・ビューティフル」みたいな感情移入させる系ではない。あ、そういう意味では「ジョジョ・ラビット」の表現は斬新だったね。

『関心領域』をすでに鑑賞済みの妻と、本作の謎の部分について、晩御飯を食べながら、あーだこーだ話をしているのを、そばで子どもたちが聞いている。

単純に良かった!とか、つまんない!で片付けさせてくれないのが映画の魅力。

それが”面白い”のだ。そこに価値があるんだ。

ところで、先日、シアドに、とある大学生30名が見学に来てくれた。シアドのことを色々と説明をしてて、その日の晩のイベント上映の告知をしたんだ。

その映画は『はだしのゲンが見たヒロシマ』(漫画家・中沢啓治が、広島市内の思い出の地を巡りながら、過酷な被爆体験や漫画『はだしのゲン』に込めた思いなど、自らの半生を語り尽くす人物ドキュメンタリー)を紹介したのよ。

学生たちに聞いてみた。
「はだしのゲン、読んだことある?」

ほとんどの学生が読んでいませんでした。

「え?じゃあ、その漫画の存在は知っているよね?」

ほとんどの学生が知っていませんでした。

「まじか?じゃ、大っきい映画館でやってる「オッペンハイマー」は知ってる?」

えー?知らないんだ!!!
(アカデミー賞作品賞を獲って話題になって、賛否両論あって盛り上がっているはずなんだけどな〜)

知らない彼らは別に何も悪くないよ。
知らないだけなんです。
誰も教えてくれなかっただけ。

漫画の作者である中沢啓治さんが、この現状を知ったら、どう思ったんだろうかと想像するだけで、悔しさも通り越して、呆れも通り越して、怒りも通り越して、「無」になりそうでした。

でも、僕は生きているし、話せることができるから、伝え続けなきゃ。

では、なぜ「はだしのゲン」の存在を教えてくれる人がいなかったのか?という問いを立ててみてください。

”関心領域”が広がっていくということは”生涯学習”になると思うんだけど、”生涯学習”を推進している大人は言葉だけで、実際のアクションを伴っていないのが現実なんだろうね。SDGsなんて言葉だけになってはいないかい?だから、こんな映画が産まれてくる。

観た人たちと超語りたい!
眠りそうな映画だったのに、眠れない夜を過ごしています。


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Posted by 宮島真一 at 14:18│Comments(0)映画がらみ
 
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